Go to contents

[社説]「空の扉」を開いた羅老号、宇宙開発の始まりだ

[社説]「空の扉」を開いた羅老号、宇宙開発の始まりだ

Posted August. 26, 2009 08:34,   

한국어

「3、2、1」。カウントダウンとともに韓国の人工衛星搭載ロケット「羅老(ナロ)号」(KSLV−1)が煙と火花を噴き出して、宇宙に向けて力強く打ち上げられた。打ち上げ10分後、科学技術衛星2号が宇宙軌道に進入したという知らせが伝わると、国民は一斉に歓声を上げた。これで、韓国は、自国から自前ロケットで人工衛星を打ち上げた世界10番目の国になった。宇宙への大韓民国の夢に新たな章を開いたのだ。

今回の打ち上げは、ロシアに2億ドルを支払って1段目のブースターを借りてきたことで、「半分の成功」という見方があるのも事実だ。しかし、1段目のブースターを除く2段目ロケット、コンピューター、燃料筒、衛星本体などのその他の部品は、すべて国内技術で製造された。韓国は、人材や資金の面で、早くから宇宙開発に着手した国々に比べて不利な環境にある。研究人材にしても、アメリカ航空宇宙局(NASA)が1万8000人、インドの宇宙開発機関(ISRO)は1万6000人にのぼるが、韓国の航空宇宙研究院は670人にすぎない。今回の成功は、世界に韓国の科学技術の能力を誇示し、宇宙先進国入りするための跳躍の足場をつくった快挙に違いない。

人工衛星搭載ロケットは、精巧さと巨大さという性格を同時に持つ先端技術力の集合体だ。人工衛星搭載ロケット1つには約30万個の部品があり、多くの部品が一寸の誤差なく有機的に連結し機能を発揮しなければ打ち上げに成功しない。50年代、米国とソ連が、そして最近になって日本と中国が宇宙競争に熱を上げるのは、宇宙開発が先端技術の開発および確保と国家プライドがかかった問題だからだ。

韓国は92年からこれまで、計11の人工衛星を打ち上げたが、すべて外国の発射場とロケットが利用された。今回、韓国の研究陣が羅老号の打ち上げで、ロケットの設計、開発、組み立て、打ち上げ、運営など、打ち上げの全過程を習得したことは、今後の宇宙技術の開発と後続作業のために重要な経験だった。160社の企業が、ロケットの開発と製造に参加したことも、産学協同による先端技術の拡大に大いに貢献するだろう。

羅老号打ち上げの成功によってもたらされる経済と産業の波及の効果は、最大2兆3400億ウォンにのぼるという分析もあるが、より重要なことは、国民の矜持を高め、国家ブランドの上昇に貢献した点だ。「韓国も、自国から自前ロケットで人工衛星を打ち上げた国」という国民の自負心は、別の分野でも先進国入りする重要な動力になるだろう。中国の場合、有人宇宙船「神舟」の打ち上げの成功による国家ブランドの相乗效果は、北京オリンピックに匹敵するという評価を受けている。

宇宙先進国との技術格差を考えると、羅老号の打ち上げは、遠い旅程の第一歩を踏み出したにすぎない。来年にも羅老号の打ち上げが予定されており、2018年までには、宿願事業である韓国型人工衛星搭載ロケット(KSLV-2)を打ち上げなければならない。今回の打ち上げ過程の大きな問題点だったロシア技術の依存度を下げ、技術の自立を実現することも課題だ。宇宙産業は、21世紀の新たな国富を創出した新技術の源泉である。宇宙への大長征は始まったにすぎない。