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[社説]財政難の大学を淘汰させて授業料問題を議論すべきだ

[社説]財政難の大学を淘汰させて授業料問題を議論すべきだ

Posted June. 08, 2011 07:40,   

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韓国大学生連合(韓大連)の大学生や市民が、ソウル光化門(クァンファムン)のKT社屋前で授業料の5割下げ公約の履行を求めて9日目のろうそくデモをしている。高麗(コリョ)大学など4大学の学生会も、授業料半額を求めて授業のボイコットを決めた。光化門でのろうそくデモの参加者は約400人だが、授業料の問題は集団行動やデモをする事案ではない。

韓国の授業料が高くなっている根本的な原因は、私立大学の財政基盤が弱く、授業料への依存度が高いためだ。一部の大学は、使い余った予算を積立金にしている。積立金は、大学が寄付金や投資収益金などを研究や建築などの特殊目的に使うために残しておく金だ。競争力強化のための投資は必要だが、授業料ではなく別の財源で当てなければならない。H大学は授業料の22%に当たる545億ウォンを積み立てていた。それなら授業料を22%下げることができるという論理も可能だ。

「無条件の授業料5割下げ」が実現されれば、教育環境を整えることもできない財政難に苦しむ大学を延命させるだろう。一部の大学は、修学能力試験(修能、日本のセンター試験に該当)や内申の成績を問わず、新入生を入学させて授業料を得ている。このような大学に対する授業料支援は、余命わずかな患者の生命を人工呼吸器で延命させることと同じだ。授業料が半分になれば、世界最高水準の大学進学率が現在よりさらに上がるだろう。韓国は、大学進学率が80%に迫り、大学は345校、大学生数は300万人に達する。大学を出ても就職ができない大卒失業者の問題が、深刻化せざるを得ない。

授業料削減に向けた大学の自助努力が先決だ。水原(スウォン)大学は3年間の授業料据え置きに踏み切り、大学の積立金から250億ウォンを奨学基金にした。水原大学の教職員数は107人だが、これは同規模の大学の半分に過ぎない。同大学の李仁洙(イ・インス)学長は「優秀な教授陣と献身的な行政組織で、業務の効率性を高め、充実した学校運営が可能だった」と強調した。別の大学でも同じようなことができないことはない。

政治家が、来年の総選挙と大統領選挙での票を意識して授業料5割下げ問題に接近すれば、国家百年の大計を誤らせる恐れがある。「無条件の授業料5割下げ」は、余裕のある階層の子どもに対しても、学資金を国家財政で補うことになる。貧しい学生に渡る分を富裕層が奪っていくも同然だ。給食の無料化よりも財政負担が大きいだろう。莫大な財政投入による後遺症に対しては誰が責任を負うのか。研究関連の予算が減り、世界的に競争力のある大学を集中的に育成することにも影響が出る恐れがある。

政治家は、光化門でろうそくを持ってはならない。この国の大学教育の競争力強化と本当に貧しい家庭の学生を助けることができる政策づくりが必要だ。