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「ブルモンの悪夢」から10年、地道な品質経営で業界首位に迫る カナダの現代自

「ブルモンの悪夢」から10年、地道な品質経営で業界首位に迫る カナダの現代自

Posted October. 05, 2011 03:07,   

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「わずか数ヵ月前までは信頼できないという様子だったが、今は様変わりしています」

先月29日(現地時間)、カナダ・トロント市の現代(ヒョンデ)自動車販売法人で会ったスティーブ・ケラハー社長(58・写真)は、今年、カナダ記者らを対象に開いた2度の説明会から切り出した。

氏は今年7月、「新型『エラントラ』(アバンテの現地モデル名)が、ホンダの『シビック』に打ち勝って、乗用車部門でトップに躍り出るだろう」と宣言した。当時、大半は「最近、現代車の売れ行きは芳しいものの、14年間一度もトップの座を明け渡したことのないシビックにまで勝つことができるだろうか」と疑いの目を送った。

しかし、年明けに北米市場で発売したエラントラは、1月から8月にかけて、計3万2937台が売られ、トップのシビックとのギャップを110台へと縮めた。3位の「マツダ3」に対しては7262台もリードしている。

ケラハー社長は、「供給だけ十分だったなら、より多く販売できたはずだ」とし、「その前日の28日に開いた説明会に出席した記者らは、大きな関心を示し、頷いていた」と主張した。

それなら、現代車も、ライバル会社のトヨタやホンダ、GM、クライスラーのようにカナダに工場を置けば、供給を増やすことができるのではないか。この記者の質問にケラハー社長は、「今はその時期ではない」と一線を画した。さらに、「これまで、現代車にとって何時もいいことばかり起きていたわけではない」とし、「ブルモンの悪夢」について慎重に触れた。フォードで働いた後、1986年から現代車に転職し、今年で社長就任10年目を迎えているケラハー社長は、当時の状況を誰よりも生々しく覚えていた。

現代車は1989年、カナダ・ケベック州の中小都市、ブルモンで初の海外工場を建設した。しかし当時、現代車は、現地のコメディ番組のお笑い素材に登場するほど、「安価なイメージ」だった。年間12万5000台もの「ソナタ」を生産できる施設ではあったが、わずか2万5000台のみの生産となった。結局4年後に、閉鎖に追い込まれてしまった。現代車の役員や従業員らにとって、ブルモンは海外進出史上最大の悪夢だ。

現代車は、ブルモンの悪夢後、心を入れ替え、10年以上に渡りカナダ市場の扉を叩いたが、消費者のブランドイメージを変えるのは容易ではなかった。鄭夢九(チョン・モング)会長の品質経営で、現代車のレベルは大幅に向上したものの、これを消費者に熟知させ、実際の購買へとつなげさせることは、また別の問題だった。

ケラハー社長は、教授や記者など、自動車専門家らから、現代車ブランドの弱みを把握する一方、顧客らから、様々な試乗経験を収集した。さらに、投資に二の足を踏む一部の自動車ディーラーの反対を押し切って、現代車売り場のインテリアやブランドイメージを一つに統一した。展示場で、メンテナンスや製品の取替えが一度にできる「ワンストップサービス」も推進した。特にカナダの寒い冬の天気を考慮し、エラントラのような準中型セダンにも、熱戦ヒートを基本オプションとして提供したことも、よい反応を得た。このような努力が積み重なり、次第に回復振りを見せた販売台数は、今年に入り一段と増加した。

ケラハー社長は、「現代車のブルモンの悪夢は、失敗だけではなかった」とし、「強力な品質経営と共に、ブランドイメージを持続的に高めていかなければならないという教訓は、いくら巨額の金銭を払っても買うことのできない貴重なものだった」と話した。



sukim@donga.com