Go to contents

韓国の研究チーム、癌細胞を殺す働きのたんぱく質を発見 新しい抗がん剤開発への道開かれる

韓国の研究チーム、癌細胞を殺す働きのたんぱく質を発見 新しい抗がん剤開発への道開かれる

Posted December. 13, 2011 07:56,   

한국어

癌の発生と転移課程には癌化を促進したり抑制するたんぱく質、あるいは遺伝子が関わる。その代表が損傷を受けた細胞の自然死(アポトーシス)によって癌の進行を食い止めるP53たんぱく質だ。癌患者の5割以上は、このP53たんぱく質に突然変異が生じたり、その働きに異常があったりする。

韓国の生命科学研究チームは、P53遺伝子が破壊されないよう安定化を図るたんぱく質を発見、このたんぱく質が癌細胞死滅の課程にも影響することを明らかにした。この成果は、たんぱく質の信号伝達体系さえうまく活用すれば新しい抗がん剤の開発にも繋がるものと見込まれている。

ソウル大学生命科学部のペク・ソンヒ教授(写真)をはじめ浦項工科大学(POSTEC)、淑明女子大学で構成される共同研究チームは12日、「癌によって正常なDNAが損傷を受けると体内ではDNA損傷信号が作られ、「RORα」というたんぱく質の活性化が行われる。このたんぱく質は癌抑制機能を持つP53たんぱく質を安定化させ究極には癌発生を抑える働きをする」と明らかにした。癌が悪化する人の場合、この癌抑制たんぱく質の機能がきちんと働かないからという。今回の研究論文は権威ある生命科学専門誌「セル」の姉妹紙にあたる「モレキュラーセル」9日付けの表紙を飾った。

RORαたんぱく質は小脳発達に重要な発現物質であり昨年2月、ペク教授チームはこのたんぱく質に大腸癌を抑制する働きがあることを初めて明らかにした。今回の研究は、大腸癌だけでなく他の癌の抑制課程にもこの物質が関わっていることを初めて明かしたことになる。

ペク教授は「今回の研究はこれまで長年、小脳機能障害を引き起こす遺伝子として知られていたRORαたんぱく質が、P53癌抑制遺伝子の細胞死滅機能を直接コントロールし、癌抑制に中心的な役割を果たすことを初めて究明したところに意味がある。」とし、「P53を利用した癌治療剤の開発可能性を高めた」と語る。

ペク教授は、これに先立ち、世界初の癌転移抑制遺伝子と調節のメカニズムを解明し、抗がん治療の新たな転機を作ったことが功績として認められ、9月のロレアルコリア、ユネスコ韓国委員会、女性生命科学技術フォーラムから今年の「韓国ロレアルーユネスコ女性生命科学賞」振興賞を授与された。



edmondy@donga.com