Go to contents

[社説]国民年金は政府の「ポケットマネー」ではない

[社説]国民年金は政府の「ポケットマネー」ではない

Posted May. 28, 2012 07:37,   

한국어

国会・予算政策処は、国民年金が持分の半分以上を保有しているソウル外郭循環高速道路や大邱(テグ)釜山(プサン)高速道路など、一部の高速道路の通行料を引き下げるべきだと提案した。「ソウル外郭循環道路や仁川(インチョン)空港鉄道などの6ヵ所は、持分の半分以上を公共部門が保有し、事実上公共機関となった。したがって、利用料を、政府財政で建設した一般高速道路レベルに引き下げるべきだ」という。

公共部門の持分が半分を超えたからといって、利用料を引き下げれば、政府を信じて投資し、まだ、持分を保有している民間投資家らがこうむる損失はどうするつもりなのか。さらに大きな問題は、「民間資本事業の持分を保有している公共部門」のリストに、国民年金が含まれていることだ。国民年金は、国民の老後保障が掛かっている大事な金だ。収益率よりは公共性を優先させる財政とは性格が違い、収益率を重視せざるを得ない。投資対象を国内外不動産などへと果敢に拡大させたのも、このためだ。

文民政府初期、政府が必要だと判断すれば、国民年金を強制に公共投資融資事業に使うことができるよう、法制化を試みたことがある。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代、柳時敏(ユ・シミン)保健福祉部長官は、国民年金が国庫債に投資し、事務ミスでより少な目に利息を受けたことが明らかになったのに、「年金であれ、税金であれ、全て国民の金だ」とし、たいしたことでもないように、うやむやにしようとした。こんなことがあるたびに、年金加入者らは、引き続き収めるべきかどうか不安になる。国民年金を財政のように運用すべきだと主張するのは、老後のために金を預けている国民より、政府の名分や必要を優先させる間違った態度のためだ。

国民年金運用の独立性や支配構造の政治的中立性は確実に保障されるべきだ。年金基金運用委員会は、韓国銀行・金融通貨委員会のように、政府から完全に独立する必要がある。国会・事務局の従業員らは、公務員年金に加入している。国民年金が、自分らの老後とは無縁なため、このような報告書をまとめたのではないか。

国民年金の加入者は2000万人を超えている。しかし、現在制度のまま、お年寄りの国民に反される年金の実質的な給与額は、28年基準で月60万ウォンに満たないものと試算される。高齢化社会に、長い老後を支えるにははるかに足りない金額であり、「お小遣い年金」に過ぎないという指摘が出ている。「100歳時代」が到来するといわれているが、国民の半分は、国民年金が老後対策の全てだ。国民年金を米カリフォルニア公務員年金やオランダ公務員年金のように、収益性や安定性共に優れた年金基金に育成し、国民の実質的な老後対策にさせるべきだ。