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[オピニオン]捕鯨

Posted July. 07, 2012 07:34,   

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ドラマ「チャムグンの誓い」で、チャングムがクジラの肉でサンジョクを作るシーンがある。味覚を失い、クジラの肉を食べたことがなかったチャングムが、宮中の料理人にどんな味かと尋ねると、「牛肉に似ている」と答える。1980年代初め、釜山(プサン)のチャガルチ市場で何度か食べたクジラの肉も、魚より牛肉の味に近かった。クジラが魚類でなくほ乳類だからか。「牛肉とマグロを一緒に口に入れた感じ」という評価もある。ソウルの日本料理店にクジラの肉を出す所があるが、大半がイルカの肉なので、美食家は「本物のクジラの肉」とは見なさない。

◆国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会で、韓国代表団が「科学調査目的の捕鯨計画をIWCに提出する」と明らかにした。IWCが1986年から絶滅危機のクジラに対する捕獲を禁止して以降、東海(トンヘ・日本海)にクジラが増え、漁業の被害が大きいという。オーストラリアやニュージーランドなどの捕鯨反対国家は反発している。しかし、これらの国が主要な牛肉輸出国なので、反対の真意は純粋に見えない。クジラの肉が、味が似ている牛肉の代わりになることを憂慮して捕鯨に反対するのか。

◆新石器時代の蔚山(ウルサン)盤亀台岩刻画には、クジラの習性や狩猟の姿が描かれている。捕鯨船を利用した捕鯨も、1899年に蔚山の長生浦(チャンセンポ)で始まった。外国の捕鯨船が長さ20メートル以上のシロナガスクジラ、セミクジラ、コククジラを絶滅に追いやった。光復(日本植民支配からの独立)後は、ミンククジラが主に獲られた。一時、「長生浦では、犬も紙幣をくわえて歩く」と言われるほど、クジラ特需だったが、捕鯨禁止後は「混獲」(漁業で目的外の生物を捕獲してしまうこと)だけ許された。警察は、混獲のクジラに金属探知機をつけ、もりなどを使った跡がないか確かめ、捕鯨でないことが判明すれば、流通証明書を出す。

◆捕鯨にはロマンがある。釣りや網を垂らして待つのではなく、人が直接もりで取っ組み合う。世界で最も大きな動物が息をするために海上に上がってくる短い時間を逃さず、もりをさす。人間の夢、意志、挑戦を象徴する狩猟だ。世の中との不和に苦悩した1970年代の若者は、「神話のように息をするクジラ」を捕まえるために東海に行こうと歌を歌った。疲れた最近の若者も、心の中に「美しいクジラ一頭」を泳がせてはどうか。

李亨三(イ・ヒョンサム)論説委員 hans@donga.com