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[オピニオン]スイス銀行の秘密口座を公開

[オピニオン]スイス銀行の秘密口座を公開

Posted July. 14, 2012 07:08,   

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スイス銀行の秘密主義は、数百年前まで遡る。度重なる戦争や革命により、不安を感じた欧州の王室や貴族らは1815年、国際条約により永世中立の保障を受けたスイスの銀行に金を預け入れ始めた。スイスの各銀行は、顧客の特性に合わせ、「秘密主義」を重要営業戦略に据えた。第1次世界大戦後、フランスが税金確保のため、スイス銀行の口座に関心を示し、1933年に政権を獲得したドイツのヒトラーまで、ユダヤ人の口座にめぼしを付けた。驚いたスイスは、その翌年、銀行の秘密主義遵守を義務付ける法律を制定した。

◆ナチの権力者らは逆発想にたどり着いた。ユダヤ人から略奪した財産を、スイス銀行に預けたのだ。ユダヤ人やナチス共に、スイス銀行の客となった。第2次世界大戦後、スイス銀行の客層はより一層拡大された。雨後のたけのこのように生まれた新生国の独裁者や企業化した各国の犯罪組織の黒い資金がスイスに殺到した。「ブラックマネーの天国」という汚名ができたのも、この時からだ。しかし、黒い金を誘致する営業方式に対する国際的批判が高まると、要塞同様だった秘密主義が揺れ始めた。

◆米政府は09年、スイスの最大手銀行・UBSを相手に、同銀行に秘密口座を持っている米国人脱税容疑者5万2000人あまりのリストの提出を求める訴訟を起こした。スイス政府が交渉に乗り出し、4000人あまりの情報が渡された。経済協力開発機構(OECD)がスイスを、「租税回避国の灰色国群」に含ませると、スイスは、「OECDが要求する基準の租税協約」を複数の国と交わすやり方で、灰色国から脱した。韓国とスイス政府とが、租税条約を改正し、25日から、韓国人脱税者らのスイス口座を閲覧することができるようになったのも、このような線上でのことだ。

◆国税庁は10年、海外で設立したペイパーカンパニーを利用し、裏資金を造成、スイス銀行に預けた企業家・A氏を摘発し、計2137億ウォンの税金を追徴した。「域外脱税追跡専従センター」を立ち上げ、6ヵ月間の調査を行った末の成果だった。それまでは、海外脱税にはほぼ手をつけることができなかった。政府関係者は、「数十年前に開設した口座でも、11年以降まで維持されたなら、発生した利子所得に対する課税情報を要請することができる」と話した。それなら、スイスに金を隠した歴代権力者の裏資金も明かすことができるだろうか。

虛承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com