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[オピニオン]平壌の盗聴

Posted July. 26, 2012 07:43,   

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タックとフランクリンはCIA要員だ。国家の安全と世界平和のために昼夜を問わず悪党と戦ってきた彼らは、互いのために命まで投げ出せる親友だ。2人の友情は、偶然にも同じ女性に恋したことでひびが入る。昨日の「友」が今日の「敵」になり、愛を勝ち取るための「戦闘」に突入する。ささいな感情争いがCIAのハイテク・ガジェットと世界最高水準のスパイ・テクニックが駆使される。2人はそれぞれ恋人の家に盗聴装置をしかけ、24時間生活を監視する。

◆「スパイ歴史上、最もみっともない戦い」というコピーがついた最近上映のハリウッドコメディ映画の内容だ。2人の主人公は、情報機関員の地位を乱用し、民間人を盗聴する不法査察をしたわけだ。一言でいって、観客を笑わせるためのあきれた設定だ。盗聴は歴史の流れを変える契機になりもする。ニクソン大統領の没落を招いた米国のウォーターゲート事件は、民主党本部への盗聴事件から始まった。ウォーターゲート事件のかなり前から、ホワイトハウスでは、政敵に対する調査と盗聴を行った。

◆民主主義国家では盗聴が大統領を退かせるほどの重大事案だが、北朝鮮では当局の秘密盗聴が頻繁に行われる。平壌(ピョンヤン)を訪れた韓国人のホテルの部屋は、四方八方に盗聴装置がしかけられていると考えればいい。高位層がライバルを除去するための手段としても活用される。最近、李英鎬(イ・ヨンホ)総参謀長が粛清されたのにも、盗聴が口実を提供したという。李総参謀長は、側近との会話で、「自分の父親(金正日総書記)が外の世界を知らずに開放しなかったと思っているのか」と金正恩(キム・ジョンウン)氏の現実認識に不満を言っているのを、ライバル関係の崔竜海(チェ・リョンヘ)人民軍総政治局長の盗聴に遭ったということだ。

◆金総書記の甥の李韓永(イ・ハンヨン)氏が生前に書いた著書『金正日が愛した女たち—金正男の従兄が明かすロイヤルファミリーの豪奢な日々』によると、北朝鮮では党幹部や側近のベッドの中の会話まで盗み聴く。ある日、李氏は、金総書記が官邸で読んだ報告書をシュレッダーで処分するよう指示を受けた。書類を機械に入れる際、内容をのぞき見すると、党幹部がベッドで交わした話があったという。夫婦間のプライベートまで盗み聴くほどだから、電話の盗聴は言うまでもない。李総参謀長が軍の最高位幹部としてこれを知らなかったなら愚かであり、知っていながら話したなら、自ら禍を招いたということになる。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com