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[オピニオン]生半可な民営化の呪い

Posted August. 04, 2012 07:55,   

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「ただ飯なんてない」という言葉を残したノーベル経済学賞受賞のミルトン・フリードマン氏は20世紀後半を代表する知性である。氏は経済成長の土台を私企業とみて企業家精神を締め付け、市場を歪曲させる政府の規制を徹底的に反対した。1980年代の米国のレーガノミクッスや英国のサッチャリズムのような新自由主義政策の理論的師匠だった。氏の自由市場論は、「市場の力を盲信して政府を敵に回している」との批判も受けた。先月31日は、2006年に他界した氏の生誕100年になる日だった。

◆フリードマン氏は1999年に「市場に第三の道はない」として生半可な民営化を強く批判した。部分的な民営化、政府介入の縮小、民間独占転換といった「第三の道」は、政府の介入と変化に抵抗する核心勢力を残し、市場の効率性を活かすことができないと指摘した。代表的な例として、役職員と労働組合の反発で民営化が頓挫した米国の郵政公社を挙げた。氏は、政治メカニズムの非効率性は既得権を追求する「現状維持の横暴(Tyranny of the status quo)」から始まったと主張した。

◆フリードマン氏が呪いに似た批判をした米国の郵政公社が1日に2011年分の退職者の健康保険補助金50億ドルを支払えなくなり不渡りを出した。情報通信技術の発達で郵政公社の郵便物取り扱い規模は5年前に比べて21%減少した。郵政公社の人権費は、全体費用の80%を占めている。競争関係にある民間企業のUPSの53%、フェデックスの32%を大きく上回る。2007年以降連続の赤字だ。今年は史上最大の141億ドルの赤字が予想されている。しかし危機脱出のための事業の多角化や構造調整は法令や労組に阻まれて取り組める状況にいない。

◆韓国でも、政府機関である郵政事業本部と公企業体制の電力産業と仁川(インチョン)空港の民営化を巡り、数々の説が飛び交うだけでどうにもできない状況が続いている。郵政事業本部は昨年10月、郵便料金を20ウォン引き上げ6年ぶりの赤字危機を辛うじて免れた。韓国電力は昨日、電気料金を平均4.9%引き上げることを決定した。4月に13.1%引き上げ案をまとめたが、物価への圧力を懸念した政府の反対で計画倒れに終わった。今年も2兆ウォン台の準損失を余儀なくされる見通しだ。フリードマン氏が示した解決策がないわけではない。「民営化をやるつもりならちゃんとやれ。第三の道などない」。

パク・ヨン論説委員 parky@donga,com