Go to contents

日常生活に即したマニュアル作りを、専門家が提言する性犯罪予防教育の要所

日常生活に即したマニュアル作りを、専門家が提言する性犯罪予防教育の要所

Posted September. 12, 2012 05:44,   

한국어

「私が子どもの頃、このような教育を受けていたなら、あのおぞましい罪を犯しはしなかっただろう。あの頃はなぜそのような機会がなかったのか。性犯罪が何かよく分からなかった自分が情けない」

先日、刑務所を訪問し、性犯罪者を対象に性的暴行に対する誤った認識を正す教育を行った性教育専門家のイ・ヒョンスク氏は、ある30代の受講生からこのような後悔の声を聞いた。イ氏は、「学校の性教育がなぜ重要なのかを物語る場面だった」と話した。

最近、ある男子学生が、高校時代の性犯罪の前科を隠して成均館(ソンギュングァン)大学に入学し、物議を醸した。この学生を含め男子高校生16人は、知的障害のある女子中学生を1ヵ月間、集団で性的暴行した。多くが中上位圏の成績で、親が教師や公務員の安定した家庭の子どもだった。彼らは法廷で、「被害者があまり抵抗せず、合意があったと思った」と主張した。青少年の性犯罪を捜査してきた警察官は、「障害者に対して罪を犯しても自分の基準で判断した」とし、「発言を聞いて『性的暴行が何か学んでいたなら…』と残念だった」と話した。

実効性のある性犯罪予防教育のために何が必要なのか、専門家たちの6つ提言をまとめた。

●1.「現場型授業」の実施

性教育は、青少年の日常生活でいつでも適用可能な「現場型」でなければならないというのが大半の意見だ。性的暴行の正確な基準が何であり、性的暴行の加害者または被害者にならないためにどのように行動しなければならないかについての基準を性教育の時間に確立する必要があるということだ。米国では小学生に、「水着を着た時に隠れる部分は親が触っても『やめて』と叫ばなければならない」と教えるほど、細かい基準を提示している。また、性的暴行の危険に直面した場合、「無条件に大声を出せ」と言うのではなく、「性犯罪者が腕を伸ばした時に触れる位置にいる場合は冷静に対応し、その範囲の外なら大声を出して逃げる。性犯罪者は摘発される危険を冒してまで被害者を追いかけることはない」という現場の状況にあった対処法を教えなければならない。

●2.性犯罪予防の教科の作成

専門家たちは、性犯罪を予防する内容を今のようにいくつかの科目に分けて「うわべだけ」で済ませるのではなく、統合された正規科目にすべきだと口をそろえる。小・中・高校の教育課程に合わせて体系的な教育が可能なためだ。教育の効果を高めるには、年齢や性向など生徒個人の特性に合わせて小規模に分けて教育しなければならない。小学校低学年は、性犯罪の被害対処の要領について集中的に教育し、中・高校生は性的暴行の概念、正しい男女関係の確立に重点を置かなければならない。

●3.率直に話をする

学校や家庭で性について率直に話ができる雰囲気を作ることも重要だ。米国やデンマークなどの先進国では、1次的な性教育者は親という認識が強く、子どもがデリケートなテーマで親と話をすることを敬遠しない。米国の研究によると、青少年が性関係や同性愛などについて親と話をする時、気楽に話ができると答えた割合が65%だった。しかし韓国では、教師が性教育の時間にコンドームの使用法を教えると、「性関係を煽る」という親からの抗議を受け、講義で避妊法を除くことが多い。

●4.家庭に拡大

教師は毎年かわるが、親は子どもの「生涯の教師」だ。政府が小学校の教師に対してアンケート調査をした結果を見ると、性犯罪の危険を減らすための案として、回答者の48.7%が「家庭の性教育の強化」を挙げ、最も多かった。しかし、親の性教育に関する知識水準は不十分だ。「アハ・ソウル青少年性文化センター」のホームページに掲載されている相談内容を見ると、「自慰をする息子を叱ってはならないのか」、「小学生の兄弟がコンピュータでわいせつな写真を見るのをどうすればいいのか」などの質問が多い。専門家らは、家に性教育に関する書籍を置いておくように助言する。本が手に届く所にあれば、子どもが自然に読んで親と話す機会が生じ得る。

●5.性教育の年齢を下げる

最近、性犯罪の対象となる年齢層が低下し、性教育の年齢を下げる必要があるという指摘も多い。現在の学校の性教育は、2次性徴が始まる小学5年生以降に行われるが、これを少なくとも小学校の入学段階に早めなければならない。人口保健福祉協会が2010年、全国の保健教師と保育園の保母1756人にアンケート調査を実施した結果、理想的な性教育の開始時期として回答者の59.4%が3〜5才を挙げ、小学校1〜3年と考える教師が16.9%を占めた。

●6.性教育専門教師の養成

性犯罪予防教育の専門教師が非常に不足していることも問題だ。性教育の教師が性的暴行に対する専門的な識見と豊富な事例がなければ、「性教育はどれも同じ」という生徒の先入観を一層強化させる可能性がある。現在、保健の教科で性犯罪予防の内容が比較的詳細に含まれているが、保健教科を採択している学校は7.8%にすぎず、これらの学校ですら性犯罪予防教育は後まわしだ。



neo@donga.com becom@donga.com