Go to contents

性売買特別法の施行から8年、売春女性たちの言い分

性売買特別法の施行から8年、売春女性たちの言い分

Posted September. 22, 2012 06:26,   

한국어

性売買特別法が8年間厳しく施行されているが、まだ聞こえてくる言葉がある。

「気に入った女性がいるか見ていってください」

18日午後11時頃、ソウル城北区下月谷洞(ソンブクク・ハウォルゴクトン)88番地一帯の「性売買」集結地の俗称「弥阿里(ミアリ)テキサス村」の薄暗い路地に記者が入ると、中年の女性が手を振って声をかけてきた。店にはカーテンが閉められ、歓楽街を象徴する赤い灯りが外にもれないだけで、営業は続いていた。酒に酔った男性が店の近くのATM(現金自動預け払い機)で金をおろし、路地で値段交渉をしていた。巡回中の警察はこの様子を見ても、そのまま通り過ぎていった。カーテンをかけて営業すれば、警察も見のがすという。値段交渉が成立した中年女性は、カーテンを開けて男性に赤いライトの下に座っている売春女性たちを見せた。

●集娼村の女性たち「不満」、なぜ?

2000年、金康子(キム・ガンジャ)鍾岩(チョンアム)警察署署長(当時)が、性売買業者を根絶するとして戦争を始めた場所。2004年9月23日に、性売買の追放と売春女性の人権保護のために性売買特別法が施行されると、警察の取り締まりが強化された場所。その後、起こったソウル市再開発ブームの中でも、テキサス村は命脈をつないでいる。現在約150ヵ所で400〜500人の女性が働いている。

テキサス村の売春女性たちは、「性売買特別法のために暮らしが苦しくなった」と訴えた。1997年に始めたというイさん(36・女)は、「初めは娼婦になったという自責の念もあったが、7、8年が経ち、一生懸命に働いて稼いだお金で母親を養うことに生きがいを感じている。8年間、私の生活には変化はないが、法のために悪い女になったような気がする」と話した。

法の施行前は、警察も性売買業者がいくつか重大な罪を犯さなければ、厳しく取り締まらなかった。人身売買、未成年者の雇用・監禁などだ。給料をちゃんと払い、性病の管理をしっかりすれば、形式的な取り締まり以外の「撤退」を強いることはなかった。法が施行された2004年以降、このような「規則」は一変した。

イさんは、「集娼村に残った私たちは鶏小屋の鶏のように、警察が実績が必要な時に一羽ずつ捕まえられる身になった」とし、「警察の取り締まりを恐れない客だけが来るので、客の質も悪くなり、働くのが大変になった」と話した。店主のAさんは、「ここに来る客が金を払って性欲を満たせば、性犯罪を減らす効果もある。性売買を合法化すれば、不必要な被害者を減らせるのではないか」と話した。

一時ここを離れ、再び戻ってきたキムさん(33・女)は、「高校中退の学歴では、ここを出て金を稼ぐことが難しい。後ろ指をさされてもお金が必要で働く私たちに、わずかな金額しか得られない別の仕事をしろと言うので、もどかしい」と憤った。隠したい職業だが、金を得ることができるので、放っておいてほしいという訴えに聞こえた。

●集娼村を離れた女性は「不安」

現在、テキサス村に残った女性は30代以上が大半だ。キムさんは、「若い人は警察の取り締まりを避け、収入もいい別の業態の性売買業に流れた」と話した。客が減り、取り締まりが激しいここを離れた女性たちは、住宅街や都心のマッサージ店や休憩店の性売買に流れた。

2008年に弥阿里テキサス村で働き始めたキム・ヨンヒさん(仮名・24・女)は、収入が減り、すぐに休憩店やマッサージ店に仕事場を移した。このような場所の性売買は、取り締まりを避けるためにさらに隠れた空間で行われる。取り締まりの危険は減ったが、テキサス村のように女性を守る店員がいないので、買春男性の暴力にさらされる危険性が高くなった。キムさんは、「2010年10月に買春男性の苛虐的な性行為のために負傷して救急搬送されたこともあった」と話した。

家出少年や大学生が利用するインターネットの出会系サイトでの性売買など、非業者型の売春女性は、さらに暴力にさらされている。1対1で買春男性を相手にする売春女性は、金を受け取ることができなかったり、モーテルで体を強制的に縛られて暴行を受け、性関係をカメラで撮影されるといった被害を受けることもある。オフィステルで性売買をするイ・ミナさん(仮名・22)は、「仲間と話ができる店では、店主や客の不当な扱いに対応できるが、独りで働くオフィステルは不可能だ。店主から『客を集めてやる』と性的暴行を受けたこともある」と話した。

●性売買が権利か

売春女性が自分たちを「性の労働者」と呼ぶことを要求し、積極的に性を販売する権利を主張する団体も生まれた。キム・ヨンヒさんは、「別の職業と同じ労働と考えると、自信を持って堂々と働くことができた。インターネットに満足したという買春男性の書き込みを見て、やりがいも感じる」と話した。彼女たちが所属する性労働者権利の会「持志」は、「性売買特別法が私たちを犯罪者や被害者扱いし、かえって現場で暴力に苦しめられるようになった」とし、「性の販売を合法化し、私たちを労働者と認めよ」と主張した。また、「性販売の合法化は、性犯罪を抑制するのでなく、性的自己決定権を女性に取り戻すことだ」と訴えた。

主流的な女性団体は、売春女性が犯罪者と烙印を押されてはならないという主張には同意するが、性売買自体は「社会悪」と線を引いた。性売買特別法の存続を主張する団体関係者は、「性労働者云々する売春女性は少数にすぎず、大半の女性は、男性優越的な構造の中で性暴行に近い搾取を受けている」とし、「性を売買する犯罪行為は、絶対に労働とは認定できない」と反論した。



tigermask@donga.com becom@donga.com